at a snail's pace

読書と鑑賞の記録

恋愛がすべてじゃないという恋愛物語:『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』(少しネタバレあり)

窮鼠はチーズの夢を見る (フラワーコミックスα) 作者:水城せとな 発売日: 2013/03/05 メディア: Kindle版 俎上の鯉は二度跳ねる (フラワーコミックスα) 作者:水城せとな 発売日: 2012/10/05 メディア: Kindle版 私はマンガを読むのが遅く、過去のBLマンガの…

祝!ルナベルULDに後発品

月経困難症治療薬・ルナベルULDの後発品(ジェネリック医薬品)が昨年12月から販売されている。今日薬局で処方されて知った。 私は4年ほど前からルナベルULDを使用している。私の場合、今までは3割負担でも1シート(1周期・21日分)あたり2,000円以上かかっ…

フェミニズムを断念しないために:『福音と世界』2019年1月号

福音と世界2019年2月号|新教出版社 福音と世界 2019年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 日本キリスト教書販売 発売日: 2018/12/19 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る ジュンク堂難波店で『福音と世界』2019年1月号を買った。特集は「生きるための…

母親の自立に疑問:映画『テルマ』(ネタバレ)

私はホラーもサイコも少し苦手というか、観ている時はよくても後になって寝られなくなったり悪夢を見たりするので避けることが多いのだが、この作品は評判が高そうだし面白そうだしでどうしても観たくなり観た。結果、観てよかったと思う。個人的にはそんな…

ブログテーマとブログ名、各記事タイトルを変更しました

ブログ開設時にピンとくるブログテーマが見つけられず、とりあえずシンプルなデザインのものを使用してそのまま変えずにいたのですが、久しぶりにテーマストアを覗いてみたところすごくかわいいゾウさんの壁紙を見つけ一目惚れしたのでデザインを一新しまし…

受容史研究と一愛好家:『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち:近世の観劇と読書』

シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち:近世の観劇と読書 作者: 北村紗衣 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2018/03/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 私は美術展に行くのが趣味で、特に近現代美術の展覧会に行っては展示の構成や解説文…

作品を展示する場所:「サム・フランシスの色彩」展

www.asahibeer-oyamazaki.com アサヒビール大山崎山荘美術館の企画展「サム・フランシスの色彩」を観に行ったのだが、少し残念な展示で失望してしまった。 サム・フランシス(1923-1994)はアメリカの抽象表現主義の系統に位置づけられる画家で、作品の特徴を…

フェミニズム心理学に見た可能性:『共依存の倫理―必要とされることを渇望する人びと―』

共依存の倫理―必要とされることを渇望する人びと― 作者: 小西真理子 出版社/メーカー: 晃洋書房 発売日: 2017/09/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 副題や帯の抒情的な言葉に惹かれて読み始めたのだが、私にとって精神分析家たちやドゥルーズ…

楽しい思い出、という偽り:『はちみつ色のユン』

はちみつ色のユン 作者: Jung,鵜野孝紀 出版社/メーカー: DU BOOKS 発売日: 2015/01/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 『はちみつ色のユン』は、韓国人養子である作家の半生を自伝的に描いたバンド・デシネだ。この作品が言…

あるフェミニストの実践:『ジェンダー写真論 1991-2017』

ジェンダー写真論 1991-2017 作者: 笠原美智子 出版社/メーカー: 里山社 発売日: 2018/02/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 笠原美智子は私が尊敬するフェミニストのひとりだ。笠原が「アーティストにとって生きやすいとはとても言えないこの…

微笑みの害悪:『情動の哲学入門: 価値・道徳・生きる意味』

情動の哲学入門: 価値・道徳・生きる意味 作者: 信原幸弘 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2017/11/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 私はこの本に出てくる「無数の名もなき情動」という言葉がとても気に入っている。情動は、喜怒…

人口政策としての「少子化対策」:『文科省/高校 「妊活」教材の嘘』

文科省/高校 「妊活」教材の嘘 作者: 西山千恵子編著,柘植あづみ編著 出版社/メーカー: 論創社 発売日: 2017/05/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 2015年夏、高校保健体育の副教材(平成27年度版)に掲載された「女性の妊娠のしやすさ…

生理介護と子宮摘出:『新版 私は女』

性と生殖に関する権利をめぐる議論は女性運動史・フェミニズムにおける重要な論点のひとつで、しかも現在進行形の問題である。 2017年11月に旧優生保護法(1948~96年)下で行われた障害者の強制不妊手術に関する資料の発見について各メディアが報じ、10代女…

2017年の振り返り&2018年の目標

昨年は美術展にたくさん行ったり、美術展の関連イベントに参加したり、東大のクィア理論講座に通ったり、AMSEAの講義を聴講したり…と私にしてはかなり活動的に過ごせたと思います。自分で専門書を漁って読む面白さや、学会に参加して多様な研究分野の存在を…