at a snail's pace

読書と鑑賞の記録

フェミニズムを断念しないために:『福音と世界』2019年1月号

福音と世界2019年2月号|新教出版社 福音と世界 2019年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 日本キリスト教書販売 発売日: 2018/12/19 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る ジュンク堂難波店で『福音と世界』2019年1月号を買った。特集は「生きるための…

受容史研究と一愛好家:『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち:近世の観劇と読書』

シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち:近世の観劇と読書 作者: 北村紗衣 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2018/03/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 私は美術展に行くのが趣味で、特に近現代美術の展覧会に行っては展示の構成や解説文…

フェミニズム心理学に見た可能性:『共依存の倫理―必要とされることを渇望する人びと―』

共依存の倫理―必要とされることを渇望する人びと― 作者: 小西真理子 出版社/メーカー: 晃洋書房 発売日: 2017/09/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 副題や帯の抒情的な言葉に惹かれて読み始めたのだが、私にとって精神分析家たちやドゥルーズ…

楽しい思い出、という偽り:『はちみつ色のユン』

はちみつ色のユン 作者: Jung,鵜野孝紀 出版社/メーカー: DU BOOKS 発売日: 2015/01/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 『はちみつ色のユン』は、韓国人養子である作家の半生を自伝的に描いたバンド・デシネだ。この作品が言…

あるフェミニストの実践:『ジェンダー写真論 1991-2017』

ジェンダー写真論 1991-2017 作者: 笠原美智子 出版社/メーカー: 里山社 発売日: 2018/02/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 笠原美智子は私が尊敬するフェミニストのひとりだ。笠原が「アーティストにとって生きやすいとはとても言えないこの…

微笑みの害悪:『情動の哲学入門: 価値・道徳・生きる意味』

情動の哲学入門: 価値・道徳・生きる意味 作者: 信原幸弘 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2017/11/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 私はこの本に出てくる「無数の名もなき情動」という言葉がとても気に入っている。情動は、喜怒…

人口政策としての「少子化対策」:『文科省/高校 「妊活」教材の嘘』

文科省/高校 「妊活」教材の嘘 作者: 西山千恵子編著,柘植あづみ編著 出版社/メーカー: 論創社 発売日: 2017/05/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 2015年夏、高校保健体育の副教材(平成27年度版)に掲載された「女性の妊娠のしやすさ…

生理介護と子宮摘出:『新版 私は女』

性と生殖に関する権利をめぐる議論は女性運動史・フェミニズムにおける重要な論点のひとつで、しかも現在進行形の問題である。 2017年11月に旧優生保護法(1948~96年)下で行われた障害者の強制不妊手術に関する資料の発見について各メディアが報じ、10代女…